化粧品に含まれている環境ホルモン成分と発がん性について
化粧品は美容成分や添加物も含め、たくさんの成分で構成されています。私たちが普段食べている果物や野菜から抽出された成分もあれば、あまり馴染みのない化学成分まで、何十、何百種類もの成分が合わさっているのです。
化粧品の中には「環境ホルモン成分」と呼ばれる、体の健康状態に影響を与える発がん性物質が含まれているものもあります。環境ホルモン成分を化粧品に配合する目的や発がん性、環境ホルモン成分の種類などをわかりやすく解説しているので、肌に優しい化粧品をお探しの方は参考にしてみてください。
環境ホルモン成分(内分泌かく乱物質)とは?
環境ホルモン成分とは、化粧品に含まれている成分の中でも、生体に有害な影響を与える化学物質の総称です。環境ホルモン成分には、発がん性のある、または発がん性の疑いがある成分が含まれます。環境ホルモン成分が多い化粧品を使用しても、すぐに異常が表れるわけではありません。しかし、長年使い続けているとなんらかの健康被害が生じる可能性があります。
環境ホルモン成分の発がん性について
環境ホルモン成分を肌から取り入れると、内分泌系に問題が発生します。内分泌系に問題が生じるということは、化粧品を使っている人の健康だけでなく、その子孫にも影響を与える可能性を意味しているのです。
また、特にホルモンを分泌する機能(肝臓や甲状腺など)に健康被害が発生する可能性があると研究で判明しています。具体的に影響があるのは次の臓器です。
- 副甲状腺
- 膵臓
- 子宮
- 脳下垂体
- 甲状腺
- 副腎
- 睾丸
ホルモン系に作用するため、これらの臓器や甲状腺に影響します。何気なく使っていた化粧品が原因で、体に大きな健康被害が起こるなんて、想像できない人もいらっしゃるでしょう。しかし1990年以来、環境ホルモン成分の健康被害にかんする論文が4,000件以上発表されている事実があります。WHO(世界保健機構)でも今日に至るまで議論され続けている、深刻な問題なのです。
環境ホルモン成分が化粧品に配合される理由
発がん性のある環境ホルモン成分を化粧品に配合する理由は、「化粧品の品質を長期間保つため」です。環境ホルモン成分は、微生物・バクテリアの増殖を防ぐため、長期間にわたり製品の品質をキープできるメリットがあります。環境ホルモン成分は規定量を超えなければ化粧品に使用できるため、メーカーによっては現在もなお化粧品に使用しているのです。
化粧品に配合される環境ホルモン成分(発がん性の可能性がある成分)一覧表
パラベン | 防腐剤として使用。化粧品をはじめ、シャンプー・クリーム・石鹸にもよく使用されている |
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青色●号 | 化粧品に使用されている色素。番号はいくつかあり、カラーも青色の他にもたくさんの種類がある。 |
アミノフェノール | 防腐剤として使用。化粧品をはじめ、染毛品にも使われることがある。 |
パラフィン | 石油由来成分。スティックタイプの化粧品やボディケア用品に使われる。テクスチャーを良くするために使用。 |
パラメチルアミノフェノール | 防腐剤として使用。石鹸・化粧品・歯磨き粉などによく使われる。 |
ラウリル硫酸 | 洗浄力の高い成分。シャンプーや洗顔に使用されている。 |
発がん性の疑いがある成分を、一覧表にまとめてみました。表に記載してある成分は、私たちが普段よく目にしたり耳にしたりする成分の一部を抜粋しているだけで、このほかにもまだまだたくさん存在します。
特に「パラベン」は、よく耳にする成分ではないでしょうか?防腐剤として品質を保つ役割を持っており、ファンデーションやアイシャドウなどのメイクアップコスメや日用品に良く使用されています。しかし2004年にイギリスでパラベンと乳がんの関連性が報告されてから、パラベンフリーの化粧品が徐々に増えているようです。
環境ホルモン成分はパラベンに限らず、私たちが想像している以上に、多くの日用品に使われています。あなたが今使用している化粧品の成分一覧表を見て、発がん性の疑いがある環境ホルモン成分がたくさん配合されていないかチェックしてみてください。新しい化粧品を購入する前にチェックするのもおすすめです。
環境ホルモン成分(内分泌かく乱物質)の使用に慎重なのはデンマーク
環境ホルモン成分は日本だけでなく、世界中で問題視されています。世界各国で、環境ホルモン成分の使用を規制する法律が設けられており、メーカーはできるだけ安全性の高い製品開発と研究を重ねているのが現状。数ある国の中でも、とくに特に環境ホルモン成分の使用について慎重な姿勢を見せているのはデンマークです。
デンマークは欧州の中でもとくに、化粧品による環境ホルモン成分の影響に注目している国です。環境ホルモン成分の研究を進めつつ、国を上げて取り組みを強化しています。3歳以下の子ども用ケア用品に環境ホルモン成分を配合するのも禁止しているそうです。また、妊娠期の女性のために、ガイドパンフレットを制作するなど、積極的に環境ホルモン成分の問題に取り組んでいます。
ウォーターフリー処方・エアレス包装の実装・天然防腐剤を使用するなど、各種メーカーで環境ホルモン成分を使わない製品開発にも力を入れています。
肌に優しい化粧品を選ぶときは「成分一覧表」をチェックすること
ドラッグストアからデパート、通販にいたるまで、化粧品はいたるところで販売されています。化粧品製造メーカーやシリーズも増え続けているため、中には何を基準に化粧品を選べばよいかわからなくなっている方もいらっしゃるでしょう。
「値段が安い=品質が良くない化粧品」というわけではありません。実際にハイクラスやラグジュアリーブランドの化粧品でも、環境ホルモン成分(内分泌かく乱物質)が使用されていることがあります。そのため、成分について良く知ったうえで、化粧品を購入するときは成分一覧表をチェックしてから商品を購入するのがおすすめです。