化粧品に含まれるビタミンE
(トコフェロール)の効果とその特徴
ビタミンCと同じく抗酸化作用をもつビタミンEは、肌の新陳代謝に欠かせない栄養素です。耳にすることが多い栄養素ですが、具体的にどんな効果があるのでしょうか。ビタミンEの特徴や効果についてご紹介します。

【監修】私が解説します!
天然由来の基礎化粧品を開発しているメーカー「リソウコーポレーション」開発部門の研究員。
健康食品の原料メーカーでもあることから成分・原料開発の実績を活かし、素肌に優しい化粧品の開発を行っています。
抗酸化作用が強み!ビタミンE(トコフェロール)とは?
ビタミンE(トコフェロール)とは、ひまわり油やベニバナ油、ナッツ類などに含まれている脂溶性の栄養素です。抗酸化作用があり、体内の脂質が酸化するのを防ぐ働きがあります。人の老化は体内の細胞膜が酸化することで活発になるため、抗酸化作用をもつビタミンEの働きはかねて注目されているのです。
女性の体内では副腎や卵巣に蓄えられることが多く、生理痛や生理不順など、女性特有の症状にアプローチします。また、毛細血管を拡張させ、血行を促進する効果も。冷えや肩こりにも良い栄養素として、高く評価されています。
ビタミンは新陳代謝には欠かせない栄養ですが、基本的に人の体の中で生成できません。ビタミンを多く含む食材やサプリメントなどから摂取しなければ、必要な量を蓄えられないといわれています。
ビタミンE(トコフェロール)が肌に優しい理由
2019年4月時点において、ビタミンE(トコフェロール)は皮膚に対する刺激性はほとんどなく、重大なアレルギーも報告されていない栄養素です。
2002年11月1日に公開された研究論文[※1]によると、55名の被験者に1%のトコフェロールを含んだ0.05mLのパラフィン(炭化水素化合物)を24時間、腕の皮膚に貼りつけて反応を測定したところ、陽性反応を見せたのは55名中0名だったと報告されています。
0~5のスケールのうち、明らかな紅斑が見られた場合を「2」と定めて測定し、2というスコアを上回る被験者はいなかったようです。トコフェロールによる皮膚への刺激性はほとんどなかったと結論付けています。
このことから、ビタミンEは肌に優しい栄養素であるといえるでしょう。
化粧品で見るビタミンE(トコフェロール)の効果
体内にある細胞膜の酸化を抑制するビタミンEは、肌の酸化も防いでくれます。
肌に悪い影響を与える活性酸素の動きを防ぐほか、毛細血管を広げて血流を良くするため、肌荒れやくすみ、クマなどの肌の悩みを改善する成分です。そのため、医薬品や化粧品としても取り入れられています。
また、ビタミンC(アスコルビン酸)とは同じく抗酸化作用をもつ成分として相性が良いため、ビタミンCとビタミンEの両方が配合されている化粧品は相乗効果が期待できそうです。コエンザイムQ10という名称で広く知られている「ユビキノン」も、働いてヘトヘトになったビタミンEを助ける効果があるので、ビタミンに加えてユビキノンも含まれている化粧品もチェックしてみてください。